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2011年8月 7日 (日)

「オリンピック招致とその経済社会効果」勉強会

為末さんをお招きしての勉強会に参加。
内容はオリンピック招致とその経済効果について
ふれるとともにスポーツと社会との関わりについてもお話があった。
Tamesue01

 

面白かったのは「spots × ○○」。

例えば
sports × 医療。
スポーツは運動と食のノウハウの蓄積された活動。
運動によって成人病リスクが減少したり、予防医療への応用も可。

sports × 地域。
スポーツによって地域のコミュニティが作られる。
例えばオランダ。3つのコミュニティがオランダにはある。
家庭
職場
そして地域スポーツ
コミュニティが崩壊しつつある現代日本において興味深い
コミュニティ形成方法だった。

論点がいくつか抽出されそれを基にディスカッションを行った。

●論点1 オリンピック招致に賛成か反対か

財政的なコスト負担はあるがオリンピック招致にはメリットが大きいのではないか。
コストは便益との兼ね合いで考慮されるべきだが、
オリンピック招致では便益を測りづらい。
波及効果が大きいからだ。
むしろ経済・社会・スポーツ・そのほかへの波及効果が大きいからこそ
良い投資となるのではないか。

例えば、短期的な経済効果のみならず、オリンピックで利用した施設を
大会終了後も有効活用すれば長期的にもメリットがある。
またスポーツの振興が促され、地域コミュニティの形成につながったり
医療への応用などもあるかもしれない。

更にスポーツ界にとっては、世界中のトップクラスのスポーツ選手が
選手村にあつまることによってスポーツ技術の向上が期待できる。
例えばアイススケートにおける清水選手のスタートダッシュの技術が
陸上の短距離競技で応用されるなどだ。
スポーツの世界において技術力で勝負している日本ならば
より一層のスポーツ技術の向上を図り、スポーツ界への
大きな刺激を生み出すことが出来るかもしれない。

●論点2 東京へのオリンピック招致により、どのような経済効果、社会効果が
期待されるか

経済効果としては施設の建設や施設利用に伴う様々なサービス産業への
短期的効果が期待できる。
また、利用した施設をオリンピック終了後にも再利用できるよう計画立てることで
長期的効果も期待できる。

施設として考えられるものとして、競技場や選手村施設、交通機関などがあろう。
競技場などはその後も東京圏での商業イベントト等で活用できるであろうし
選手村などは職住近接型のライフスタイルを実現させる上で役立てることも可能だ。
選手村は選手の寝泊まりする宿泊施設として整備されているし、
外国人スポーツ選手が快適に利用できるよう、施設周辺の環境整備
(植林などによる緑化etc)が施されている。

こういった施設は大会終了後も、東京のビジネスマンの職住近接を可能にする。
このような大会終了後も見据えた都市計画はシドニーオリンピックでの前例がある。
P1180693

●論点3 東京都が誘致を実現するためにはどのような点を売りにすべきか。

東京都は2016年のオリンピック招致に敗れた。
その敗因として、「国民支持率が低いことが、IOCにネガティブな印象を与えた」
ことなどが指摘されている。
はたしてそうだろうか?

オリンピックを開催する上でいかに自分の都市が優れているのか
をアピールすることは当然としても、それがIOCの求めている
クリティカルなことではないのではないか。

現にアテネがオリンピックに選ばれている。アテネは大会の最中に
未だに大会工事を行っていた。つまりはずさんな大会計画であり
実行力は優れているとは言えない国だろう(ましてや粉飾財政もあった国だ)。
従っていかに自分の都市が大会を運営する上で優れているかを
アピールしても勝ち目は見えてこないのではないか。

むしろIOCが求めていることが何かを考える必要がある。
大会を行う上で開催者が求めているもの、それは「ストーリー」ではないか。
例えばシドニー。
オーストラリアではアボリジニーという原住民がいる。
原住民とも一体となった「ひとつのオーストラリア」
これがシドニー五輪のストーリーとなっている。
また2016年のリオでのオリンピックは「南米初」が目玉のストーリーとなっている。

そう考えると東京がだせるストーリーは以下の2つではないだろうか。

①環境問題。世界的な環境問題への意識の高まりの中で
環境に対応した次世代型の都市設計を示し広めるストーリー
(2016年において東京都は「環境」「コンパクト」「財政基盤」を強みとして
アピールしているが、これを「環境」に特化し強化する必要がある。)

②アジアの台頭の中で、アジア地域全体の繋がりを意識し
そのアジア地域のかけ橋としての東京というストーリー

●論点4 アスリートの所得や雇用はどう確保していくべきであるか。
またオリンピック等のスポーツイベントが生み出す収益が
アスリートにも適切に分配されるためには、どのような仕組みが必要か。

一つには個人からの活動資金を集めるスキームを作るというのが
考えられるのではないか。
例えば、アマチュアのミュージシャンは現在インターネットを用いて
個人的なファンを獲得し、個人の活動資金を得
それを基にして楽器等を購入し活動を行っている。
同様に、スポーツ選手にも応用する。

また仮説だが、スポーツ選手獲得競争が機能していないというのも
考えられるのではないか。
例えば野球ならばどの球団にどんな選手を持ってくるかによって
球団の成績が左右される。同時に放送収入や観客からの収益など
にも影響を与えるだろう。
そのため優秀な選手を抱えようと各球団は選手獲得合戦を繰り広げる。
そうすることで職業として不安定でリスクがあっても、何十億という大金が
動くことになる。
このような競争原理が他のスポーツ競技においてうまく機能していない
ということが原因のひとつなのかもしれない。




以下、興味深かったこと列記。
①日本ではスポーツの行える施設が減ってきていると言われることもあるが
学校施設も含めると、世界で一番グラウンドを持っている。
日本並みに持っている国はない。廃校などをスポーツ利用してはどうか。

学校施設を含めると、というのは驚き。
これから少子化の影響で経営破たんしたり、統合したりする学校が増えてくるだろう。
そうした場合、施設をスポーツに再利用し、同時に地域スポーツコミュニティを
形成させてはどうだろうか。

②アメリカではクウォーター制をとっている。
一人で複数のスポーツを行い、1年間を異なるスポーツで3シーズン回す。
中高辺りからメインとして行うスポーツを絞っていく。

しかし体操やゴルフなど複雑系のスポーツは幼いころに身につけていないと
本質的には身につかないらしい。
そこで中国では戦略的にスポーツを割り振っている。

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2011年8月 6日 (土)

アメリカ財政赤字について

「イタリア、スペイン財政赤字の原因考察」からするとこれらの国の財政赤字の要因として考えられるのは
①公的年金支出が大きい
②実質GDPが落ち込んだ
③税の徴収率が低い
④課税対象者が少ない

となった。
これはアメリカの財政赤字にも当てはまるのだろうか?
前回までの日記に添付したデータを見てみる。

①公的年金支出が大きい→むしろ低い
②実質GDPが落ち込んだ→当てはまる
③税の徴収率が低い→脱税率は低い
④課税対象者が少ない→地下経済は小さい

従って当てはまりそうなのは②だが、実質GDP成長率は2010年には2005年の水準にまで戻っており、これに伴って税収が伸び、財政問題が表ざたにならなくても不思議ではないはずだ。

しかし、財政収支はイタリアやスペインよりも悪いという状況になっている。実質GDP成長率はイタリアやスペインよりも高いのだから不自然である。なぜだろうか?
Gavernment_financial

仮説だが、アメリカの税制に問題があるのではないだろうか。tax revenueを見てみると群を抜いて低いのはもちろんだが、2005年前後の景気が良い時期には税収の対GDPが伸びているのに対して近年では逆に低下している。
Tax_2

仮に、税収をT、GDPをY、平均税率をとおけば
T=tY
と表わせ
T/Y=t
となり税収の対GDP比はほぼ一定となっていてもおかしくない。
現にアメリカ以外の国々ではほぼ一定となっている。

しかしアメリカの場合には景気が上向けば税収の対GDP比が上昇し、逆に景気が悪くなれば税収の対GDP比が低下している。

これは景気が悪くなると税収がそれ以上に低下してしまうことを表わしている。
景気が悪化する→税収がそれ以上に落ち込む→財政赤字が一気に膨らむ
このような構図を成り立たせてしまう税制をアメリカが取ってしまっていることが、今回の財政赤字を問題化してしまった原因のひとつなのではないだろうか。

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イタリア、スペイン財政赤字の原因考察

欧州中央銀行、伊・スペイン国債の買い入れか
http://news.nifty.com/cs/economy/economyalldetail/yomiuri...

今朝の記事に以上の者があったので、イタリア、スペインの財政赤字の原因について考察してみる。

財政赤字の原因は大まかに①歳出が大きい、と②歳入が少ないの2つに分けられる。

まずは①歳出面から。歳出項目は多岐にわたるので、ギリシャ危機の時によく指摘された公的年金支出と公務員給与総額についてみてみる。

公的年金支出についてはグラフより、イタリア・スペインともにOECD平均を上回っており、かつ平均以上の国では財政問題がしばしば発生していることから歳出を多分に圧迫しているものと考えられる。
Public_pension
OECDデータより作成

次に公務員給与総額について。公務員給与総額は
1人当たり公務員給与×公務員数
なのでこの2つを見てみる。

1人当たり公務員給与はギリシャ、イタリア、スペインともにOECD平均とほぼ同じか少し上回る程度である。財政を圧迫する主要因とは言えないだろう。また、公務員数も同様である。

1人当たり公務員給与
Photo
OECDデータより作成

千人当たり公務員数
Photo_2
OECDデータより

次に②歳入面から。歳入が少ない要因としては以下のものが考えられる。
a.GDPが落ち込んだ
b.税率が低い
c.税の徴収率が低い(脱税率が高い)
d.課税対象者が少ない(地下経済が大きい)

まず、a.GDPが落ち込んだについて。グラフより実質GDPは2009年に大きく落ち込んでおり、歳入を減少させたと考えられる。
Real_gdp
OECDデータより作成

b.税率が低いについて。単純化のためにGDPに対してどれくらいの税収があったのか、で近似させるものとする。OECD totalから比べれば、ギリシャがやや低いがイタリア、スペインはOECD totalと同等かそれ以上である。従って税率が低すぎると言うことはないだろう。
Tax
OECDデータより作成

c.税の徴収率が低いについて。脱税率はギリシャが25%、イタリアが22%、スペインが20%とフランス、ドイツ、日本などよりも非常に高くなっており、脱税率が高い。

各国脱税率
Photo_3
エコノミストより

d.課税対象者が少ないについて。地下経済の規模を比較してみると、イタリア、スペイン、ギリシャは非常に高い値になっている。地下経済が大きく、課税対象者数がその分減るため税収が少なくなるものと考えられる。
Shadow_economy
OECDデータより作成

以上をまとめるとイタリア、スペインの財政赤字の要因として考えられるのは
①公的年金支出が大きい
②実質GDPが落ち込んだ
③税の徴収率が低い
④課税対象者が少ない
の4点と考えられる。

①、③、④は恒常的な財政赤字要因として、②はここ数年の財政赤字要因であろうと推測される。

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